事業場の労働者数が一定の規模以上の場合、労働安全衛生法では、業種により総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、産業医をそれぞれ選任するよう定められています。それぞれの担当者の業務内容、選任要件、選任手順についての詳細は東京労働局のHPをご確認下さい。
なお、各管理者等を選任した場合、遅滞なく管轄の監督署(鳥取県内監督署一覧)に選任届の提出が必要です。届出の際は総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告(様式第3号 厚労省HPダウンロードして使用可能)と免許の写等の書面の添付が必要です。
当ページでは、衛生管理者、産業医についての補足事項を掲載しております。
衛生管理者は事業場に専属の職員である必要があるため、他の事業場との兼務はできません。
衛生管理者になるためには、原則、衛生管理者試験に合格する必要があります。鳥取県近隣の免許試験会場は広島県福山市の中国四国安全衛生サービスセンター、兵庫県加古川市の近畿安全衛生技術センターがあります。(試験は毎月1回は実施しています。)なお、毎年鳥取県でも年に1度出張試験が実施されています。出張試験の日程は、中国四国安全衛生サービスセンターHPでご確認いただけます。なお過去に出題された問題も同センターHP内で公表されています。受験準備のための参考書、問題集は市販されておりますが、鳥取県労働基準協会では衛生管理者試験準備講習も実施しています。
衛生管理者の業務は、事業場の衛生管理を全体的に管理する業務であり、事業者、労働者、産業医をつなぐ重要な役割があります。その職務については、労働安全衛生規則第11条及び通達で次のとおり明示されています。
(1)定期巡視
衛生管理者は、少なくとも毎週1回作業場等を巡視し、設備、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、
直ちに、 労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければなりません。
(2)事業場の衛生管理の関する措置
① 健康に異常のある者の発見及び措置
② 作業環境の衛生上の調査
③ 作業条件、施設等の衛生上の改善
④ 労働衛生保護具、救急用具等の点検及び整備
⑤ 衛生教育、健康相談その他労働者の健康保持に必要な事項
⑥ 労働者の負傷及び疾病、それによる死亡、欠勤及び移動に関する統計の作成
⑦ 衛生日誌の記載等職務上の記録の整備
(3)衛生委員会
毎月開催する衛生委員会に委員として出席し、労働者の健康障害防止及び健康の保持増進に関する議事について、関係資料の提供や委員としての意見を発表しなければなりません。
産業保健総合支援センターでは、衛生管理者の業務について、さまざまなテーマで研修会(無料)を随時実施しております。お気軽にご参加下さい。(研修会申込窓口)
従業員50人以上の事業場では、産業医を選任する必要があります。なお、50人未満の事業場では、地域産業保健センターの医師による産業保健サービスを無料で受けることができます。
法律では以下のとおり産業医の立場について定められています。
労働安全衛生法第13条
3 産業医は労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。
4 事業者は、前項の勧告を受けたときは、これを尊重しなければならない。
労働安全衛生規則第14条
3 産業医は総括衛生管理者に対して勧告し、又は衛生管理者に対して指導若しくは助言することができる。
4 事業者は、産業医が法第13条第3項の規定による勧告をしたこと又は前項の規定による勧告、指導若しくは助言をしたことを理由として、産業医に対し、解任その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。
つまり産業医は事業場における産業保健体制の指導的立場とされています。また事業場との契約に基いて活動しますが、事業場と労働者との間で中立的な立場に立った活動をすることが求められています。
■ 産業医の関係法令(厚生労働省)
産業医の職務は労働安全衛生規則第14条、第15条に記載されていますが、主な業務は次のとおりです。
(1)健康診断実施後の医師の意見聴取
健康診断で異常所見のあった労働者について、健康診断個人票の医師の意見欄に就業上の意見(通常勤務でよい、勤務制限として残業禁止、出張禁止等)を記載します。なお、この医師の意見聴取は、健康診断後3か月以内に行う必要があります。
(2)長時間労働者に対する面接指導
時間外・休日労働時間が長時間に及び、かつ、疲労の蓄積が認められる労働者に対して面接指導し、必要な労働者に
ついては就業上の措置について意見します。
(3)高ストレス者に対する面接指導
ストレスチェックの結果、高ストレスであり、面接指導が必要と判定された労働者に対して面接指導し、
必要な労働者 については就業上の措置について意見します。
(4)職場巡視
原則、毎月1回事業場を職場巡視し、作業方法や衛生状態を把握して必要な措置について意見します。
(5)衛生委員会
毎月開催される衛生委員会に委員として出席し、衛生管理等について専門的な立場で意見します。
(6)その他
労働者の健康管理に関して、事業場からの依頼に応じて意見しますが、近年はメンタルヘルス休業者の職場復帰において、主治医と事業場との中間的な立場で就業上の措置について意見することが多くなっています。
※「オンラインによる医師の面接指導を実施するにあたっての留意事項」(労働者健康安全機構)
※ 産業保健総合支援センターでは、さまざまなテーマで産業医研修会(無料)を随時実施しております。お気軽にご参加下さい。
(研修会案内)
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(参考冊子)
個別に近隣の医院等に産業医契約のお願いをするか、または鳥取県内各地区医師会、各地域産業保健センターまでお問い合わせ下さい。産業医の主な業務内容は上記の(1)~(5)ですので、これらの中で定型的な業務や臨時で発生する業務の確認、通常の契約時間で処理できない業務が発生する場合等を想定し、通常の活動謝金とは別に1時間あたりの単価を定めた契約内容にする等、事業場、産業医双方で円滑な業務が出来るような現実的な契約をご検討下さい。
ご相談がございましたらお気軽にお問い合わせください。(相談窓口)
(参考冊子)
※産業医契約書(参考例)の掲載もあります。
2021.8(諸藩2019.3)