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所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 令和4年12月によせて

投稿日時:

鳥取産業保健総合支援センター 所長 黒沢 洋一

 

COP27

ごく最近、11月なのに太陽の日差しが夏ように強く感じられることがあった。11月がこんなに暖かかったという記憶があまりない。大丈夫かなと思ってしまう。

産業革命以降増え続ける大気中の二酸化炭素には地表からの熱の放散を妨げて地表を暖める働き「温室効果」があり、地球全体の平均気温を上昇させる。気温上昇による海水面の上昇、気候変動、生態系の急激な変化が懸念されている。1997(平成9)年にわが国で開催された第3回「気候変動枠組条約締約国会議」(COP3)は、温室効果ガス排出量の削減目標について法的拘束力、数値目標を定めた「京都議定書」が採択される画期的な会議となった。それから、25年が過ぎたが、先進国と途上国の対立、アメリカ等の大国の一時的離脱などがあり、その歩みは順調ではないようだ。

先日エジプトで第27回「気候変動枠組条約締約国会議」(COP27)が開催された。地球温暖化がもたらした「損失と被害」を支援する基金の創設で合意したことが今回の会議の大きな成果として取り上げられていた。被害を受けやすい途上国が長年求めていたが、巨額の負担を恐れる先進国が反対してきたようだ。気候危機はすでに顕在化しつつあり、今年、パキスタンでは2カ月に及ぶ猛暑のあと、8月、大洪水が国土の3分の1をのみ込み、3300万人の生活が破壊されたというニュースは衝撃を与えた。確かに温室効果ガスの排出量の少ない途上国が、温室効果ガスによる甚大な被害を受けている。温室効果ガスを大量に排出した先進国がその「損失と被害」を支援すべきという理屈で、途上国の主張が認められたといえよう。一方、先進国が求めた1.5℃以下におさえるという目標は棚上げになったようだ。背景にエネルギー危機があり、議論は進まなかったようだ。

今後のCOPの動向に注目したい。