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所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 令和7年1月によせて

投稿日時:

鳥取産業保健総合支援センター 所長 黒沢 洋一

 

『雪下ろしと地方創生』

 

2025年は、仕事始めから今シーズン最強の寒波により、日本海側を中心に大雪となった。
屋根の雪下ろしなどの除雪作業中の事故が連日報道された。青森県は10日に大雪被害として、
死亡者7人を含む死傷者は102人に達したと報告した。これまでも豪雪地帯では、屋根の雪下
ろしなどの除雪作業中の事故が多く発生し、雪が多い年には、年間1000件以上の事故が発生
し、100人以上が亡くなるなど深刻な被害となっている。国土交通省は、除雪作業中の屋根か
らの転落事故のほか、転倒、除雪機による事故、落雪による事故、水路等への転落事故など
の防止のための注意事項を「雪下ろし安全10箇条」として取りまとめている。
第1条では、「安全な装置で行う」として、安全帯としてフルハーネスを使用し、命綱はアン
カー(ない場合には屋根の雪を下す反対側の柱、固定物)にしっかり固定とある。屋根の雪
下ろし作業は命がけの重労働である。

近年の傾向として、人口減少・高齢化により雪処理の担い手が不足し、高齢者を中心とし
た除雪作業中の事故が多く発生している。豪雪地帯の安全・安心な暮らしの確保を図る必要
があるとして、国土交通省は、地域における共助除排雪体制づくりを推進している。ただ、
限界集落といわれるように集落の共同活動の機能が低下しており、共助体制を維持するのは
容易ではない。やはり、人口減や社会的な基盤の維持など地方が抱える課題の解消をめざす
地方創生といった観点が必要なのだろう。政府の看板政策である地方創生に期待したい。

※参考(国土交通省 「雪下ろし安全10箇条」)
https://www.mlit.go.jp/kokudoseisaku/chisei/kokudoseisaku_chisei_tk_000139.html