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所長のメッセージ

所長のメッセージ  : 令和7年4月によせて

投稿日時:

鳥取産業保健総合支援センター 所長 黒沢 洋一

 

『米国の完全措置』

4月にはいって、世界中が米国の関税措置の対応に振り回されている。関税措置の
日本への影響についてあるエコノミストは、輸出産業からその下請け企業に生産調整
や雇用調整の影響が広がる可能性があるとコメントしていた。さらに、各国が報復措
置に踏み切り、貿易戦争のような状況になった場合は、リーマン・ショック以来の大
きな減速期を迎えるきっかけになる可能性にも言及した。リーマン・ショックと聞い
て、17年前の記憶がよみがえった。リーマン・ブラザースの経営破綻が露呈した2008
年9月、ある企業の安全衛生委員会への出席を準備していた時、その企業から安全衛生
会議延期の連絡が入った。リーマン・ショックに対応するための会議が急遽開かれる
ことになったためだという。ただ事ではない緊張感が伝わってきた。生産計画の見直
しなどが話し合われたのだろう。その影響は長期間続いたと聞いている。
全国の製造業の製造品出荷額等の推移(「経済センサス-活動調査」)をみてみると、
2007年の336兆円からリーマン・ショック後の2009年には265兆円と大きく落ち込ん
でいる。経済の減速期を迎えたのだろう。その後、製造業の製造品出荷額は徐々に回
復し、最近では、360兆円となり、リーマン・ショック前よりも増加している。あの時
のような影響が出なければよいのだが・・。

4月9日になると、米国から「相互関税」の90日間の停止が発表された。その後、
「相互関税」の対象からスマートフォン、パソコンや半導体製造装置などを除外する
ことが報道された。米国の関税措置に変化がみられる。ただ、一喜一憂しても仕方が
ない。17日には、いわゆる日米交渉がはじまると報道されている。固唾をのんで見守
るしかない。