所長のメッセージ
: 平成30年11月によせて
鳥取産業保健総合支援センター 所長 能勢 隆之
保健指導や健康診断の結果を踏まえ、受診者(労働者)に対して熱心に毎回運動やスポーツを勧める理由について述べてみます。
運動は病気の治療方法のうち、薬物療法、手術療法、食事療法、精神療法等とならび『運動療法』の一つとして活用されています。
特に健康増進はもとより国民病といわれる生活習慣病などの予防、治療、リハビリテーションに利用されるようになりました。
更に一部の疾患については運動療法、運動指導(機能訓練、物理療法など)を勧めます。これは医師が病気の治療後に医療費を請求する診療報酬の中で、薬の処方や手術料と同じように保険点数(月1回 1000円など)として認められるようになっているからです。
運動と医療(病気やケガを治すこと)が結びついたのは古代のギリシャやローマ時代において、人間の健康維持や病気の治療にランニング・レスリング・乗馬などのスポーツや運動が利用されていた頃からと言われています。
そして、以前より数多く「運動は健康を維持するために必要である」、「運動は体の各部分に適切に刺激が加わらなくてはならない」、「健康な人は規則正しく運動をすることが必要である」、「病気の回復期の患者においても必要に応じてそれぞれの体質に応じた特殊な運動を処方することが必要である(リハビリテーションなど)」、「特に座ったきりの生活をしている人には運動が必要である」と言われたり、そうした内容が書物に報告されています。
運動療法は主に患者を対象に考えられていて、現在の病気がどのような状態であるか、あるいは機能的に運動に耐えられる状態であるかを判断し、特に運動負荷の影響を受けやすい心臓、呼吸、神経機能、運動器官(筋肉・関節など)、その他に肝臓や腎臓などの機能を見極めて行うことが重要となります。
現在では運動が生体にどの程度負担をかけるのかが科学的にも解明されてきたので、病気の治療にも積極的に活用されています。よって言うまでもなく健康な人や日頃労働に従事している人には、健康経営のためにも運動は健康増進・病気の予防、病気の増悪予防、リハビリテーションに必要なことであり、活用する目的に応じて理想的には、運動処方を作成し実践することが望ましいと考えます。
まず手始めとして積極的に30分以上汗をかく程度の速さで歩くことです。はじめは少しづつ行い、3日でやめないで7日続けるようにがんばり、それが習慣となり行うことで、苦にならなくなったら成功です。
このように努力しても目に見えた成果はすぐには現れないのですが、身体機能は疑いなく改善されています。
努力しなければ何も生まれないことを心に強く思ってがんばりましょう。