所長のメッセージ
: 平成31年4月によせて
鳥取産業保健総合支援センター 所長 能勢 隆之
新元号「令和(2019年5月1日から)」に変わる平成31年4月に新社会人の皆様は入社され、健全に勤労されていることとお祝い申し上げます。
新しい職場で仕事への期待に夢膨らませてご活躍のことと思いますが新しい仕事に携わるには、さまざまな能力が必要です。早く仕事に慣れスムーズに生産活動に従事されることを期待しています。
産業保健に携わる我々の立場といたしましては、上手に仕事に適応され、身体的にはもちろん精神的にも快適に対応されることを望みますが、全てが当初からうまくいくとは限りません。
種々の困難な場面に直面することもあります。この時には、まず各職場で上司や同僚のサポートを得たり、相談することにより乗り越えることが必要です。しかし、職場には乗り越えられない社会状況や仕事場の環境、あるいは古くからある労働環境や仕組がありますので、働き易くすることを目指して平成30年に「働き方改革を推進するための関連法律(労働基準法、労働安全衛生法、労働時間等設定改善法等)」が改正、整備され、平成31年4月1日より施行されました。これにより労働者の就業環境の改善が期待されています。
鳥取産業保健総合支援センターでは、あらゆる労働者の健康管理に関係する事業を行ったり、必要な健康教育の機会などを提供するとともに、事業主や産業医など産業保健に従事する者の業務の支援を行っています。
新しい労働者のみなさんには耳慣れないと思いますが「産業保健」ということばをこの所長のページでよく使います。
産業保健というのは医療従事者が活動している一つの分野です。
内容は全ての働く人の健康を守り、安心して働ける環境を構築し、併せて企業体の健康経営の向上を図ることを目指した実践的活動です。
働き方改革関連法の内容には、時間外労働の上限規制などが新たに制定されましたが、そのなかで一般的には注目されにくい改革として、産業医・産業保健の強化という項目があります。その一つは、産業医の立場について独立性・中立性の強化がはかられ、公正な立場で判断、活動できるようになったことです。また、事業主は産業医の業務内容・労働相談の申出方法等を、常時各作業場の見やすい場所に掲示する等により、労働者に周知されなければならなくなりました。
そして産業医は労働者の健康管理等を行うのに必要な知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならないとされました。
産業医が健康相談に対応することが制度化されましたので、労働者は身体的・精神的な不調があれば早めに産業医に相談し、不具合なことが進行しないように対処し、その上で、貴重な労働力を長年発揮することで、生産性の向上に寄与されることを期待します。