所長のメッセージ
: 令和3年2月によせて
鳥取産業保健総合支援センター 所長 能勢 隆之
◇厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症対策を法的扱いにするため、暫定的に昨年1月に「指定感染症」に位置付け、今日まで対策を行ってきました。しかし感染が拡大し続けているため、政令を改正し、その暫定的措置を来年の1月末まで延長しました。この政令により、感染者(PCR検査陽性者など)となると、当局は無症状の者でも入院勧告や就業制限ができる(強制ではない)ことや医師による感染者発生の届け出などが必要となり、検査や治療が公費負担となります。政令が延長されたのは、指定感染症でなくなると、感染の広がりの把握が困難になることや入院措置がとれなくなり、コロナウイルス感染の蔓延に歯止めをかけることが難しくなると思われるからです。
◇しかし、入院措置をとるためには陽性者を医療機関等に受け入れる体制が整っていることが必要ですが、感染症患者用の病床は今までに十分に設置されているわけではありません。また、医療従事者も感染症対策の知識を十分に熟知しているわけではありません。病床やそのためのスタッフを確保することはたやすくなく、患者が増加すれば病床が不足することはいうまでもありません。
◇また、外出自粛や3密(密接、密集、密閉)にならないように要請しても感染拡大は進み、感染者の多発地域を中心に全国バラバラに緊急事態宣言を出しても効果を期待するのは難しいと思われます。また、20時以降の会食制限ではコロナは昼間も活動していますし、4人以下でも接触したり、飛沫を受ければ感染しますので終息は困難です。
◇もともとウイルスは地球上の生命体の誕生とともに存在していて、人類の遺伝子にもウイルス由来の塩基配列が組み込まれていることが分かっています。自立的に自己増殖できないコロナウイルスは人類や他の動物に感染・寄生し、宿主(人間)と適切に共存を図るときに良好な関係で共生できます。しかし、今回は中国から発生したといわれていますが、コロナウイルスが宿主を攻撃するような変異株(自然又は人為的?)に変化し、人類はウイルスを撲滅するように治療薬を開発して対抗しようとしますが、RNAウイルスは耐性株に変異し、さらに毒性の強いウイルスに変わり活動を続けます。流行は続き、第3波のあとには変異株をもったコロナウイルスによる第4波がおこることが予測されます。我々人間(宿主)は、ウイルス攻撃に耐えるため体内に抗体を確立して可能なかぎり長く免疫を維持し、世界の人々に集団免疫ができることを期待するしか解決の道はありません。
◇各事業場においては健康診断を受けて体調をチェックしておくことと、健康づくり(運動、休養、栄養)を労働者にすすめ、自らが日常より健康管理に努めるようにしましょう。
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